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(2005/3/28プロパン・ブタンニュース)

パロマ専務 
小林弘明氏
“愛・地球博”もCO2削減を掲げる

  株式会社パロマの小林弘明専務は、オール電化攻勢に対してガスがいかに闘っていくか。LPガスの創生期にわれわれの先輩は、ボンベを担いで消費者の軒先まで行ってこんろも湯沸器も中身を分解して組み立てて見せてお客と密接な関係を創りながら普及させた。その後、合理化が進んでガス器具の知識やサービスはサービスマンが、営業は営業マンがといった具合になった。創生期のあの泥臭さに回帰しなければと思う。
 原点回帰と言ってもお客さまにガス器具の知識を普及するのに今日では万の単位でしなければならない。そのために昨年10月から「パロマ実演車」を全国に配備した。お話を聞きながら筆者は実演車の働きぶりを直に見たいと思った。3月19日、群馬県館林市近郊にある橋本産業の簡易ガス供給団地で開かれたガス展にパロマ実演車の活躍ぶりを見学した。百聞は一見に如かず、実演車の見聞で小林専務が熱ぽく語った「省エネトップランナー方式」や「ラベリング制度」の意味がよく分かった。
パロマ実演車を見る
 実演車は4d車で、ガス器具で体感できるすべてを1台の車で実演してくれる。車の側面に@ガス対IHこんろ比較実演Aビルトインこんろ3台の実演B熱効率比較実演C小型湯沸器不燃防装置の作動実験D浴槽での湯はり実演E床暖房体感、F浴室暖房体感G浴室テレビ実演HミュージックインターホンリモコンIミストサウナの実演――がある。反対側の側面には24号給湯器をはじめ小型の瞬間湯沸器が展示されている。
 イベント会場は橋本産業のマル簡団地で、建坪80坪、車2台分のカーポートがある住宅480戸の団地である。1戸当たり平均ガス使用量は月々10立方b。周辺に館林、大田、大泉、千代田など多くの工業団地を擁し購買力は高い。
 パロマ実演車は、昨年10月に3台が埼玉、名古屋、岡山に配置されてフル稼働している。埼玉の実演車は、昨年10月にセントラル石油瓦斯の小山工場でのガス展を第1回に東北地方や北関東で既に十数回興行した。館林の次は仙台だとパロマの北関東支店長の田野倉文彦支店長は忙しそうだ。実演車は今月から更に2台増設される。これならば小林弘明専務が言うように万の単位でユーザーやサブユーザーに体感フェアが可能だとうなずけた。
ラベリング制度とトップランナー方式
 省エネラベリング制度は、家庭で使用される器具が国の省エネルギー基準を達成しているかどうかをラベルに表示するものである。省エネ基準達成率100%以上の器具には緑色のマーク、未達成(100%未満)は橙色のマークをつける。これによって消費者が製品を選ぶ目安となる。
 パロマは家庭向けガス機器製品の5つの分野で(財)省エネルギーセンター主催の“省エネ大賞”を受賞している。平成10年度水なしグリル「こんがり亭」が受賞、平成12年度高効率バーナー「eco60」が受賞、平成14年度高効率小型湯沸器(5号)が受賞、平成14年度潜熱回収型給湯器(24・25号)が受賞、平成14年度ハイブリッドW暖房ファンストーブ「ひなたぼっこ」が受賞した。パロマは、省エネ基準達成機種の数でもトップランナーである。これはパロマが業界にさきがけて熱効率改善とCO2削減に取り組んだたまものである。そして28年前に元止め湯沸器に不完全燃焼防止装置を付け、FF型給湯器も10年前から搭載していずれも無事故で経過している。また、米国の子会社RHEEM社が提唱して米国の全メーカーが不完全燃焼装置を装着するようになった。
 一昨年、このキャンペーンを始めたが、大いに手ごたえがあった。各地の電力会社から計算根拠を示せと喧しく言ってきた。当社では次のように回答した。電力会社は分かったとは言わない。不問に付したようだ。
 17・2本の根拠=4人家族を想定してIHヒーターとの排出量を比較する。年間の調理に必要な熱量を設定して、その数値からガス・電気それぞれの熱効率を考慮して消費ガス量・電力量を算出する。ガス(eco60+こんがり亭)1210`h時/年(こんろ1095+グリル115)。IHヒーター(こんろ+ロースター)942`h時/年(こんろ804+ロースター138)。この時点ではIHの方が消費量が少なく、環境に良いように見えるが、この数値に環境省が出したCO2排出係数を掛けて排出量の差を出す。都市ガス=0・18`c−CO2/`h時、LPG=0・21`c−CO2/`h時。上記の排出係数を年間消費量にかけると、都市ガス=217・7`c−CO2/年、LPG=254・0`c−CO2/年、電力=339・1`c−CO2/年。IHとの差を取ると都市ガス=121・2`c−CO2/年、LPG=84・9`c−CO2/年。この数字の平均値を、木1本当たりの年間吸収量6`cで割算して(121・2+84・9)÷2=103`c−CO2/年、103÷6=17・2本。これにより17・2本がでる。さらに、最近の使用実態調査では19本となる。
「愛・地球博」開幕
 パロマの本拠地である愛知県で「愛・地球博(愛知万博)」が25日に開幕した。ここでもCO2の削減は主要テーマである。パロマはCO2 100万d削減キャンペーンに邁進するが、パロマ独りが頑張ってもピストルの単発のようなものだ。業界全体が一つになって立ち向かわねばなるまい、と小林弘明専務は対談を結んだ。


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