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(2005/1/31プロパン・ブタンニュース)

日本LPガスプラント協会専務理事
佐藤 修氏
JLPA 脈打つ自主保安の伝統

 社団法人日本LPガスプラント協会(JLPA)専務理事の佐藤修さんは目下、「LPガスプラント検査基準」(JLPA 501)の改訂作業に余念がない。
 保安検査方法を見直し、JLPA検討委員会報告書と今年4月1日の省令改正(予定)を踏まえた改訂である。改訂版は、「LPガスプラント保安検査実施要領」(JLPA 501−2)として4月10日までに完成させるとしている。改訂版は高圧ガス保安協会推薦として発刊される。これをもとにJLPAは4月から6月下旬にかけて日本LPガス団体協議会と共催で全国各地に保安講習会を開催する。受講者は延べ1,500人に及ぶと考えられる。
 現在、保安検査の対象となるLPガスプラントは、二次基地、充填所が約2,600カ所、タンク数で約5,000基、オートガススタンド約1,900カ所、工場等消費プラント約1,900カ所である。プラント以外に民生用バルクローリー1,200両の再検査もある。民生用バルクは平成9年から始まって5年に1回の再検査だから平成14年から年間120両ほどの検査がある。
 これらLPガスプラントのハード面の保安確保は、業界の自主保安活動で発展してきた。JLPAが「LPガスプラント認定検査事業者制度」を昭和44年度に制定して自主運営したのが始まりである。後に高圧ガス保安協会(KHK)がこの制度の運営主体になってからも、また高圧ガス保安法の施行時にKHKの「指定保安検査機関制度」が発足してからもJLPAはKHKと表裏一体になって自主保安の道を歩み続けている。
JLPA基準の略年譜
 昭和36年にLPガスプラントの各種技術基準づくりをスタート。同38年の通産省軽工業局長通達で、「JLPA基準」は関係告示に定める技術上の基準を補完するものとなる。製造事業者が「JLPA基準」を自主的に順守するよう各都道府県知事・各通産局に通達したものである。昭和56年にはLPガスプラント検査基準(JLPA 501=KHKとJLPAの合意にもとづいて制定)。平成10年にはJLPA 501 LPガスプラント検査基準第2版(KHK推薦)。平成13年にはJLPA 501 LPガスプラント検査基準第3版(KHK推薦)。そして平成17年4月(予定)からJLPA 501 LPガスプラント検査基準第四版(KHK推薦)を「LPガスプラント保安検査実施要領」(JLPA 501―2)として発刊する。
 JLPA 501改訂の歴史を見るだけでも保安にかけるJLPAの熱い意志をうかがうことができる。
事故防止には地道な啓蒙活動
 事故がないから何もしない。事故が起きてからでは間にあわない。防災とは予防措置である。事故が起きないようにすることが大切である。
 現在、バルク貯槽は約14万基、バルクローリーは1,200両くらいが稼働しているが、10年後には貯槽は40万基、ローリーは3,000両になるだろうと言われている。それは無事故で推移すればであって、事故が多発すれば普及はスピードダウンする。
 事故には単純ミスが多い。安全普及のセミナーでも言葉だけでは駄目、実地講習が大切である。現場で働いているのは設備士など資格者ばかりではない。アルバイトの素人も少なくない。ガスが漏れれば凍傷に罹ることも知らない。人が死ぬB級事故が起こると思い出したように保安が語られる。日ごろの地道な啓蒙こそが普及を促進する。事故が起きなければ評価されない仕事をよくやるねと言われるが、これが自分たちの使命だと思っている。
保安のこころを説く
 佐藤さんは徳島県生まれで高松育ちの人。昭和36年中央大学経済学部を卒業して日本車輌製造に入社。一貫して営業畑を歩いた。平成8年、輸送機器本部営業部長を最後に退社し、同年10月JLPA事務局長、平成11年5月JLPA専務理事に就任した。自主保安を話す語り口は雄弁ではないが、保安のこころを熱心に説く。お若いころ日本車輌の営業時代にLPガスの充填所やオートガススタンドの建設に工事会社とパートナーを組んで現場監督をした経験を懐かしく語る。
 お話を伺いながらそのお人柄の印象を一首に詠んだ。保安のこころを話す佐藤さんは、昔の有徳の僧正のように思えたという歌意である。
 いにしえの 大(おお)き聖(ひじり)に 相まみえ 酔(ゑ)い泣きてこそ こころ澄みけれ。


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