2005(H17)年
1月10日(月曜)
第2608号
PBN2005-01-10-01
突き動かした「ガス屋のDNA」
新潟県中越地震14日間 MaruiGas災害救援隊

 新潟県中越地震では発生翌日から、人知れず被災地に入り、黙々と働く男たちがいた。一刻も早くライフラインであるLPガスを復旧しようと、あらゆる困難と闘ったMarui Gas災害救援隊員79人である。14日間(10月24日〜11月6日)、延べ224人が1,960戸のLPガスを復旧した。工事車両での車中泊。度重なる余震。隊員は恐怖とも闘った。隊員を奮い立たせたのは被災者の感謝の言葉であり、仲間への友情であった。そして、分散自立型エネルギーの特徴をよく熟知した「ガス屋のDNA」が復旧活動に突き動かしたとも言ってよい。中越地震から間もなく3カ月、また都市直下型大地震の阪神・淡路大震災から満10年。この間、日本列島は幾多の自然災害に見舞われたが、各所でLPガスが復旧・復興の炎となってきた。東海、東南海など、いつ発生してもおかしくない巨大地震。避難所となりえる公共施設の重要性がクローズアップされている。LPガス業界は今、全国の自治体に向け、災害時に即時対応できるLPガスの常備を訴える運動を展開している。本紙は中越地震と闘ったMarui Gas災害救援隊、新潟県業界、さらに阪神大震災の被災地を再取材するとともに、新潟県見附市の久住(くるす)時男市長の特別インタビューを通して、「災害に強いLPガス」を改めてアピールする。

PBN2005-01-10-02
LPガスで新しい生活 被災地はいま 新潟県中越地震
インタビュー
新潟県LPガス協会 古川 武会長
災害の教訓風化させない

■生かされた訓練の成果
 全国のLPガス関係者からの温かい支援に心から感謝する。この場をお借りしてお礼申し上げたい。新潟県は7月の集中豪雨、そして10月の中越地震と相次いで災害に見舞われた。6月に新潟県・新潟市が合同で総合防災訓練を実施した矢先の災害だった。業界としては訓練の成果が出たと考えている。二次災害の防止、早期復旧に全力で取り組んだ。幸いマイコンメーターの作動などで二次災害は起きなかった。他のライフラインに先駆けて「復旧完了宣言」を出すなど、早期復旧を実現することができた。また、県内で3,460戸の仮設住宅を建設したが、そのうち約2,200戸の熱源をLPガスで供給した。水害の際に建設した仮設住宅は入居日が迫るなかでの急を要する作業だったが、今回はプレハブ協会との綿密な打ち合わせの上で作業を進め、順調に進んだ。12月中旬にはLPガス仮設住宅はすべて建設が終わり、被災者の新しい生活が始まっている。震災で被害の大きかった地域のなかで、十日町市は100%LPガス供給の地域。そのため、ライフラインに関する不満の声は比較的少なかった。あらためて「災害に強いLPガス」の存在感を示した格好だが、行政から認知される業界であると同時に、「災害“にも”強いLPガス」であることをPRする必要がある。

PBN2005-01-10-03
全国LPガス卸売協会新潟県支部 五十嵐亮造支部長
「分散型エネ」の強み発揮へ

■都市ガス王国での苦闘
 震災時の各販売事業者の対応は素早かった。本震翌日には各自が充填所の点検をし、10月24日から顧客の安全確認・復旧作業を開始した。3〜4日で復旧のメドがついた。復旧完了宣言を発表したのが11月11日だが、実際にはこの期間で作業はほぼ完了していた。しかし相次ぐ余震のために、2度、3度の点検を余儀なくされたケースもあった。安全確保のために、全戸を回って点検した。大半はマイコンメーターの作動で遮断されたため、二次災害は起きなかった。その後、26日から守門村(現魚沼市)などの避難所に炊き出しセットの提供を開始し、その後10日程度をかけて避難所対策を行った。県内の業者とそれを統括する中央団体の間で情報の混乱があり苦心した。また、避難所にLPガスの炊き出しセットを提供しようとしても、新潟は天然ガスの宝庫で都市ガス王国とも言われており、なかなか善意が受け入れてもらえないケースもあった。
■「さすがLPガス」
 新潟でも電力会社のオール電化攻勢は激しさを増している。新築住宅は県内で15%、柏崎市では20%、村上市では50%がオール電化住宅になっている。LPガスの風向きが悪くなっている中で災害が起きた。そのなかで避難所から「LPガスに助けてもらった」という感謝の言葉や仮設住宅から「さすがLPガス」とのお褒めの言葉をいただいた。評価してくれている人もいることがわかった。
 今回の地震はエネルギー問題に警鐘を促してくれた。業界は「縁の下の力持ち」の役割は果たした。これからは「災害に強い分散型エネルギー」であることをあらためて見直し、避難所となる施設にLPガスを供給することが課題だ。また、防災組織の見直しや行政と協定を結ぶなどの対策も必要である。

PBN2005-01-10-04
視点
有事に機能する体制へ

 中越地震では地元販売事業者の対応は素早かった。他のライフラインに先駆けて復旧完了宣言を出すなど、改めて災害に強いLPガスをアピールした格好となった。
 その一方で地元業界と中央団体との間に情報が伝わるタイムラグがあったことは否定できない。中央では正確な被害情報の収集に懸命になるが、被災地の業者はそれよりも顧客の安全点検・復旧作業に追われたため、情報の取りまとめには時間を要した。さらに、相次ぐ強い余震が情報の混乱に拍車をかけた。
 また、復旧作業に対しても温度差があった。中央からはLPガスの炊き出しセットを持って、避難所に差し入れするように指示が発せられたが、その指示があったときにはすでに地元業界はその対応をとっていた。
 新潟県は全国で有数の都市ガス地域であることなどから、LPガス業界の善意が受け入れてもらえないケース、地元業者が率先して行っていたことを後追いで中央が指示するケースもあった。
 仮設住宅の熱源供給についても再度検討する必要がある。
 今回の震災で建てられた仮設住宅の半数以上をLPガスで熱源供給したが、地元業者は持ち出しを覚悟の上で協力した。入居期間は最大で2年だが、大半の住民は期間を終える前に引っ越すことが予想されるので、ガス使用量の収益も期待できない状況だ。このような業者に対する何らかの支援も考えなければならない。
 現場で作業をする点検員から調整・統括する県協会、さらには中央団体や行政まで、業界全体が一枚岩となり、災害に強いLPガスのPR、地位向上を働きかけると同時に、有事の行動や情報伝達について機能する体制づくりに本気で取り組むことが喫緊の課題だ。

PBN2005-01-10-05
被災住民の生活支えたLPガス

 平成7年1月17日午前5時46分、まだ明けやらぬ阪神間で突如としてマグニチュード7・3の都市直下型大地震「阪神・淡路大震災」(1995兵庫県南部地震)が発生、一瞬のうちにガス、電気、水道、交通、通信などのライフラインが破壊された。その中でLPガスは二次災害もなく、わずか2週間で安全点検を完了した。避難所や仮設住宅でも活躍し、災害に強いエネルギーとして多くの被災者の暮らしを支えた。この教訓を生かすため、近畿地区のLPガス業界は率先して防災体制の強化に取り組んできた。震災から10年を機に当時の状況を振り返るとともに、震災以降の防災の取り組みを紹介する。

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「災害に強い」を実証
被災地域の16万2,700世帯 2週間で安全点検完了

 大震災の震源地は淡路島北部、震源の深さ16`bだった。消防庁のまとめによると、死者の数は6,433人、住家の被害51万2,882棟、火災被害は6,558棟(平成15年末)。ビル・家屋は倒壊、道路は随所で寸断され、阪神高速道路が約600bにわたって倒壊、阪神間のJR在来線・新幹線、阪神、阪急、神戸電鉄、山陽電鉄、地下鉄などの鉄道網も完全に遮断されてマヒしてしまった。
 ライフラインの被害は停電260万戸、断水127万戸、ガス停止85万7,000戸、電話28万5,000回線で、兵庫県推計によると直接の被害総額は、9兆9,268億円に達し、戦後最大の大災害となった。
 LPガス販売事業者は地震発生後、ただちに供給現場に駆けつけ、倒壊した家屋からLPガス容器を撤収したり、火災が迫った消費設備から容器を移動するなどの作業を夜を徹して行った。また、多くの消費者が地震発生直後に容器バルブを閉栓、地域の消防機関・自治会などもこれに全面協力し、大地震にもかかわらず、LPガス消費世帯での二次災害はなく、“災害に強いLPガス”を実証した。

PBN2005-01-10-07
LPガスはどう強みを発揮したか

 LPガス設備がライフラインとしてすぐれているのは、分散自立型であるため、「災害に強い」「復旧が早い」「復興に貢献する」という三拍子が揃っているからだ。だが、これは都市ガスなど他のライフラインに比べた場合であって、LPガス設備も被災するし、復旧には大きな努力を必要とする。また、LPガスの強みたる三拍子は普段の地道な努力があってこそ維持・向上される。安易な「安全神話」は戒めねばならない。天災地変に見舞われた昨年は特に、中央−現地、地元業界−自治体間の通報・連携体制が不十分であることや、LPガス業界の情報収集力、広報不足が課題として大きく浮上した。今後30年内にはいくつもの大地震が予想されており、今年を新たな「防災元年」とし、取り組み強化を図ることが求められている。本コーナーでは、過去の自然災害で業界はどう対応したかを検証するとともに、流通3団体の取り組みにスポットをあてた。

PBN2005-01-10-08
名古屋市
初のLPG車が環境に貢献 「アラウくん」でごみ、CO2削減

 愛知万博(3月25日開幕)を前に県都・名古屋市の環境への取り組みが積極的だ。16年9月から、名古屋市内で活躍している食器洗浄車「アラウくん」。ごみの発生抑制とCO2の排出量削減を目的に導入したのだが、そこにLPガスが大きく貢献していることはあまり知られていない。食洗車に搭載の湯沸器や食洗器はすべてLPガス仕様で、車の燃料もLPガス。同市所有初のLPG車でもある。市内のスタンド関係者からは「LPガスを通じて“大都市・名古屋”の環境に貢献したい」として、LPG車の情報を市に提供していきたいとしている。名古屋市環境局ごみ減量部減量推進室の西田秀明主査に取り組みを聞いた。

PBN2005-01-10-09
向こう三軒両隣に的絞る
4dトラックや軽トラック活躍
移動体感車ラッシュ
中国地区で15社採用

 中国地区ではガス機器販売を「待ちから攻めへ」に転換しようと、トラックにガス機器を搭載した移動体感車が相次いで登場している。的を絞った客に対してこちらから出向いて行けるという臨機応変さが成果に結びついている。

PBN2005-01-10-10
「やっぱりガス」くっきり 伊藤工機滋賀工場

 伊藤工機(本社・大阪府東大阪市、内海二郎社長)の滋賀工場のネオンサイン「やっぱりガス」がこのほど完成した。
 完成したネオンサインは、目に鮮やかな赤い楕円の中に「やっぱりガス」の文字が通過する新幹線の車窓からでもハッキリとよく見えるようにした。
 内海社長は「LPガス業界で長年お世話になってきた。エネルギー間の競争が激化している今日、業界のイメージアップと何かお役に立てることはないかと考えて新しいネオンサインを作った。少しでも多くの消費者にガスをアピールできれば」と話している。
 滋賀工場は伊吹山麓の南側にあり、大阪方面から上りの新幹線に乗車した場合は、米原駅を過ぎ進行方向の左手(北側)に見える。

PBN2005-01-10-11
電化攻勢にはGHP、高効率給湯器
九州需要開発研究会報告書を作成

 九州経済産業局の呼びかけで九州・沖縄の販売事業者11社が集まり、新時代をにらんでLPガス事業の今後を探ってきたが、このほど報告書がまとまった。電気、都市ガスなどの競合エネルギーを踏まえ、LPガス事業者が今後とも地域にとって不可欠な存在である続けるための方策を探ったもの。報告書では、過去どの業界関係機関も触れなかった太陽光発電システムについて積極的な取り扱いを促すなど、独自な視点も盛り込まれている。

PBN2005-01-10-12
環境 省エネ 災害対応
LPGがトップランナーに

需要拡大運動に結集を
日協賀詞交歓会「業界50年」迎える

 2005年(平成17年)のLPガス業界の仕事始めを告げる日本LPガス協会主催の新年賀詞交歓会が6日正午から、東京・永田町のキャピトル東急ホテルで開かれた。会場には業界各団体長、流通・製造各企業の経営トップが一堂に会し、経済産業省や消費者団体、政界から大勢の来賓も加わり500人を超え、熱気溢れる新年のスタートとなった。主催者代表あいさつで吉田清会長は「今年最大の課題は需要の維持・拡大である。LPG創業50周年の区切りの年に当たって業界は、10月10日を『LPガスの日』とし、活動の原点としたい。業界はいよいよ小異を捨て大同につき、一致協力して諸課題を実行する年である」と述べ、需要拡大運動への結集を訴えた。

PBN2005-01-10-13
岩谷産業、環境配慮型経営に選定
卸売業で第1号 政投銀から融資

 岩谷産業は日本政策投資銀行の「環境配慮型経営促進事業制度」の対象として選定され、12月24日融資実行を受けた。卸売業への制度適用では第1号。融資金額3億5,000万円、融資期間5年間。
 同制度は環境配慮型経営に必要な事業資金全体(設備・非設備資金)を支援するスクリーニングシステム(格付けシステム)。企業の環境経営度を評点化して優れた企業を選定し、得点に応じて3段階の適用金利を設定する「環境格付け」の専門手法を導入した世界で初めての融資制度。