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(2004/6/21プロパン・ブタンニュース)

関東グロリアガス社長
山本節男氏
お客様に選ばれる価格とサービス

 関東グロリアガスの山本節男社長は、昨年四月に親会社の三井石油ガス販売の関東支店長から現職に就いた。山本さんの名刺には「おかげさまで五〇〇〇〇軒」と需要家軒数の伸張ぶりが誇らしげに刷り込まれている。山本さんは昭和四十九年に旧ブリヂストン液化ガスに入社、東京本社でPグロリア・システムの普及やガス総括部、名古屋支店勤務もした。三井石油になってからは、平成十一年に東北支店副支店長(後に支店長)、十四年一月から十五年三月まで関東支店長だった。関東支店長はやってみたい仕事だったと言う。
 関東グロリアガス社長になって一年余、三井石油グループの経営理念「競創」の旗の下、三井石油ガス販売の他の直販会社や同特約店のお手本になる改革につぐ改革に取り組んでいる。どのように改革したか。その実績を見てみよう。
単位当たり競争力の向上
 関東グロリアガスの家庭用直売部門の単位当たり競争力を比較(一九九八〜二〇〇二年度)すると、販売費の削減額約二億九千万円に対し、家庭用直売販売数量は千九十一d伸ばしている。この間、新規顧客を約八千軒獲得しているから販売費の中の新規開拓費はおよそ一億円増加している。
 これによって家庭用直売部門の単位当たり競争力(一`c当たり販売費、販売費÷販売数量)は、九八年度の百五十一円から〇二年度に九十九・八円に大幅に削減した。
 〇三年度にヤマビ事業本部は、戸建て一律十立方b三千六百円という価格設定を可能にしたのである。目標だった販売費百円/`cを達成し、経常利益も一億二千七百万円(〇二年度)計上した。一`c当たり五十円以上ものコスト削減は、物流提携やガス外利益などでは達成できる金額ではない。「販売数量拡大」と「コスト削減」による裏づけがこれを可能にしたのである。
チームリーダー会議
 山本社長は毎週、月曜はヤマビ事業本部(山梨県甲府市)、火曜は西北事業本部(埼玉県狭山市)、木曜は神奈川事業本部(神奈川県綾瀬市)でチームリーダー会議を行って一週間の仕事の点検をする。この会議はいずれも夜に行われる。営業チーム、お客さまチーム、開発チーム、卸チーム、配送チーム、開発チーム、工事チーム、総務経理チーム等がある。
 ここで特記すべきは、営業チームとお客さまチームを分けたことである。営業チームの仕事は、販売量の拡大に特化し、器具販売、検針・集金等は営業の仕事から切り離したことである。営業チームは、既存の顧客の防衛と単位消費量の増加に専心、併せてコスト削減を実施する。これによって新規顧客の獲得が可能になる。言い換えるならばお客さまに選ばれる「価格」と「サービス」ができる(表)。営業チームは安心点検運動をベースにこれを展開した。
 山本さんはこうも言う。人を育てるには、信じる、任せる、リスクは自分が負う。そうでなければ人は動かぬ。チャレンジ精神も出てこない。会社の方針が「単位当たり競争力の向上」にあるのだから、これを実現するために社員各人の自主性を尊ぶと言う。チームリーダーは実務もできて、管理もできないといけない。指示だけしてじっと見ているような、いわゆる管理職はどんどん淘汰されていく人事システムをとった。
「床暖らん」で需要創出
 オンドル文化を持ち床暖が広く普及している韓国の有力メーカーと組んで低コスト、施工性、耐加重性にも優れている床暖機器を準備している。東京ガスでは東京の新築マンションの七〇%以上に床暖を入れた。その結果、年間ガス消費量は一・三倍という。三井石油ガスは、八畳用床材を含めて工事費込みで二十万円と格安で工務店等に提案をはじめている。需要拡大の一手である。
 山本社長は、「元売」とは輸入タンクを持ち、海外から輸入したLPガスをローリーで売る会社なのか、そうではない。シリンダーでネットワークをつくり、本業のガスで電気にも都市ガスにも拮抗できる旗艦的な役割が果たせる会社が、真の意味の元売ではないか。本業で勝たねばならない、と対談を結んだ。


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