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(2004/4/12プロパン・ブタンニュース)

日本LPガス卸売協会専務理事
野坂良雄氏
業界シングルボイス化の推進役

  全国LPガス卸売協会・専務理事の野坂良雄さんはLPガス業界は今、「戸惑いの時」にあるとして、全卸協はこれを克服して「世なおし」をする原動力になりたい。そして全卸協の組織の面々を三国志の豪勇の士に見立て、差し詰め牧野会長は劉備玄徳、副会長諸氏が関羽雲長、理事および会員諸氏が張飛翼徳だと言う。この張飛翼徳には専務理事ご自身も含めている。そう言って三国志の「桃園の契り」を語るのであるが、それが少しもわざとらしくもなく大げさにも聞こえないのである。
 筆者などがこんなたとえ話をしたら鼻持ちならないだろうが、野坂さんが話すとごく自然に受け取れるのである。そして野坂さんがこのように話すとき、全卸協のアクションプログラムである@充填所統廃合の加速A流通四団体のシングルボイス化Bオール電化に対抗して高効率給湯器、マイクロコージェネの普及促進CLPG車の普及D事故撲滅と災害対策――などが著しく前進するに違いないと思えてくるのである。
重複する委員会の整理から
 業界シングルボイス化を実現するための第一歩として全卸協は、各団体が開催している委員会のうち重複する内容の委員会を統合して開催することを提案したいと言う。流通三団体が開催する委員会は、内容・構成員等が重複しているケースが多く、それぞれが独立して行う必然性はない。従来は、日団協をはじめ個々の団体が個別にPR活動をしてきたが、今後は日団協サミットで統一見解を発表した方がよい。業界のPR活動はスマートになり、各団体のコストセービングにも繋がる。
2つの構造改善調査
 平成十五年度石油ガス構造改善支援事業の一環として全卸協は最近、「東海地震を想定して災害時のLPガス供給体制を構築することを目標とする調査」と「GHPをベースとしたガスエンジン・コージェネレーションの実態調査」を実施した。前者は学校給食などの公共施設には都市ガス供給区域内でも災害に強いLPガス供給体制を敷いて災害時の都市機能の整備を図るものである。後者のマイクロコージェネの調査は、最近のエネルギー間の競争の激化は、特に電力各社がガスの市場を標的に需要分野も産業用、業務用に止まらず家庭の厨房、暖房、給湯をも狙っている。この電力攻勢を迎え撃つガス側のツールとしてGHPをベースとしたマイクロコージェネの重要性を指摘するものである。GHPをベースとしたマイクロコージェネは完成度も高く、省エネ性、経済性も主張でき、従来は手も足も出なかった小口業務用や家庭用の分野にコージェネレーションの普及を可能にした。
 全卸協はこのほかにも多くの仕事をしているが、そのすべてをここに述べるわけにはいかない。この二つの調査事業によって全卸協の活動をご理解願いたいと言う。
野坂さんの自分史抄
 野坂さんは筆者の取材に対し以前に作成された「わが半生記」というメモを用意して下さった。それをそのまま書けば野坂さんのお人柄がよく分かるのだが、紙幅が足りない。要約すると次のごとくである。
 誕生・幼少時代=昭和十七年十一月十三日、鳥取県大山(だいせん)の麓、現在の岸本町に生まれる。小学六年生時に鳥取県教育委員会から健康優良児童の表彰を受ける。三十三年=鳥取県立米子東高校入学、柔道部に入部、一年生で初段、二年生で二段、三年生で鳥取県大会で団体優勝、全国高校柔道選手権大会に出場。三十六年=明治大学政経学部入学、明大体育会柔道部に入部、三十六年から四十年まで全日本学生選手権大会のチャンピオンとして四連覇。四年生時に東京オリンピックが開催され、全日本学生柔道連盟からオリンピック柔道会場の役員に派遣された。
 岩谷産業での職歴。昭和四十年、岩谷産業に入社。四十年〜四十五年は「生産関連営業部」で工業用ガス、溶接材料、産業設備担当。四十五年に海外関連本部、五十年に岩谷シンガポール会社常務取締役、五十八年本社へ異動までシンガポールに駐在して原材料機械本部に所属が移る。五十九年、本社に帰り、生活関連本部LPガス石油部輸入担当課長に異動、供給部となり、副部長、部長に、そして取締役エネルギー本部長となる。生産関連本部、原材料機械本部、生活関連本部と岩谷産業の三大営業グループと海外関連本部に所属できたことは幸せだったと言う。
 家庭のこと。妻とも江さんが健康で家庭を守ってくれたことには半生分まとめて感謝と述べ、息子たちは三人ともリトルリーグ野球に所属、ご自身も同リーグの審判部長、奥さんもリーグ父母会の責任者をした。一家が一つのボールに集中して家族で一つの会話ができたと言う。
 そして海外での友人、コタキナバル山(四一三〇b)登頂組の人々の話をする野坂さんは屈託がない。こんな野坂さんだから全卸協を三国志の豪勇になぞらえても少しもおかしくないのである。

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