(2004/3/22 プロパン・ブタンニュース)

波多野素子
(はたの・もとこ=シナネン経営企画部広報室 社内報『えんゆう』編集長)

やっぱりガスだね

 「何で焦げ目がうまくつかないのかな」。私がお餅を焼いたり、焼きおにぎりを作ったりするときの独り言。
 昨年、社内報の取材で岩手県水沢を訪れた。帰り際、以前お取引のあったガス販売店のお嬢さんが経営する喫茶店に、ふと立ち寄った。
 入社時の私は、PR誌を担当した。とくに彼女が執筆した、カナダのビクトリア滞在記の連載に力がはいった。岩手テレビでお料理番組を受け持つ彼女は、地元では知る人ぞ知る有名人。その滞在記も料理が随所に登場する。PR誌に彩りを添えてくれる記事だった。一度だけ、会社で本人にお会し、柔和な笑顔が印象的な人で、すぐに魅了された。
 十数年ぶりの再会だったが、あの笑顔で緊張はすぐにほぐれた。彼女は、南部鉄器製で「焼き焼きグリル」という商品を開発していた。ガスこんろのグリルにそのまま入れて料理する、ガスの直火の良さを実感できる鉄板。ガスの強い火力ならではの、おいしい創作料理も考案し、関東圏でも人気商品だと言った。彼女に会う前日、水沢の物品センターで買っていた私は、彼女のアイデア商品と知って、思わず驚きの声をあげた。
 おいしそうな焦げ目のついた焼きおにぎりの写真に、一目で惹かれて購入した。これを使えば、自分の焦げ目問題は解決すると思うとうれしくてたまらなかった。
 早速、家で試すと、カリッとした色艶のいい焦げ目が、短時間でおにぎりについた。オーブンレンジでは、時間もかかるし、水っぽい仕上がりになるものだ。もう大感激だった。
 すぐに当社の展示会で、彼女に料理の実演を頼んだ。グリルは多く売れた。だが、ガスのPRにはあまりならなかったとの意見も聞かれた。
 先日のこと。購入した友人が「料理は絶対にガスだね。あのグリルばっかり使っている」と笑顔で言った。やっぱりガスのPRになっているよね、と思った。