(2004/1/26プロパン・ブタンニュース)

中山佳子
(なかやま・よしこ=新日本石油ガス販売部需要促進グループ)
 
占いに頼りたくなる時代

 毎朝、テレビで「今日の運勢」を観る。ここ何年かは、朝の番組でそれを放送しない番組はない、といってもいいくらいどのチャンネルでもやっている。
 そこでは、今日の運勢がいい星座から順に発表されていき、全体運とラッキーポイントが紹介され、最下位はその星座名が告げられるとともに、その最悪の運勢を逃れられる方法まで教えてくれる。何となくでしか観ていなくても、もし自分の星座が上位にあればその日一日が非常に気分良く、下位にあればなんとなく気が重くなるものだ。
 このように、占いは、テレビや多くの女性向けファッション誌、新聞などで手軽に手に入れることができる身近な存在である。それによって、私をはじめ多くの人が、全く面識もなく、私の人生に興味も責任もない人たちの助言をありがたく受け取ってしまうのだから不思議だ。
 その昔、古代日本では、占いはその行為自体が生活に密着したものであった。占い師が神々の声を聞くことで、農作物の豊作凶作や天候を占うといった神事が催されていた。すなわち生きていくために必要不可欠なものだった。しかし、一概には言えないが、現在に至るまでには天気予報も発達し、また自然現象の解明も科学的に進んでいる今日では、占い自体が人生や恋愛運、仕事運や金運など私的なものが対象へと変化してきたのであろう。「自分の性格とは?」「自分の将来は?」「それが本当に自分の幸せに繋がっていくのだろうか?」などという自分自身の悩みや迷いに対する助言を、知らず知らずのうちに求めてしまうのだろう。
 しかし最近の日本は、数年前では考えられなかったような出来事に怯えている。大企業や銀行の倒産、テロへの恐怖、天災への不安、原因不明のウイルス…。それに社会不安を掻き立てるマス・メディア。
 このような時代、生きていくためにあらゆることを占いに頼ってしまいたくなる日々が来るかもしれない…。