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(2003/10/13プロパン・ブタンニュース)

カメイ社長
亀井文行氏
ネット100年、次のステップへ

 亀井文行氏は今年六月にカメイの五代目社長に就任した。カメイは三月十八日が創立記念日である。とくに今年は創立百周年を祝い、次の百年に向けてのスタートの年として全社をあげてニュー・カメイの機運が盛り上がっている。文行社長は、ニュー・カメイを象徴するが如くに若く溌剌としている。先ごろ行われた小泉総理の改造人事で自民党幹事長になった安倍晋三氏(四十九歳)や浅野司郎・宮城県知事が五十五歳と若く、広く好感をもって迎えられたが、文行社長はさらに若く四十一歳である。文行さんの登場を会社の内外の歓迎する気持ちは安倍さんや浅野知事を見る目と相通じるものがある。
 文行社長は語る。カメイの強みは東北を中心にエネルギー、食、住の営業拠点、物流拠点を百年かけて構築したことにある。全国に二十二支店、営業所三十カ所、サービス・ステーション直営が百五十カ所、特約店が二百五十カ所、計四百スタンド、油槽所三十カ所、ガスターミナル十六カ所、オートガススタンド十一カ所、食料流通センター(倉庫)九カ所、配送会社も一〇〇%の子会社である。特約店、販売店、酒販の卸先は地域の名士ぞろいである。このネットワ ークがカメイの最大の強みである。世界のメジャーが巨額の投資をしても五年や十年でできるものではない。とくに東北での基盤は堅い。百周年に当たって直売の顧客は、ガソリン・スタンドのカメイ会の会員数が三十二万人、LPGの顧客が十一万軒、灯油の客が二万五千軒、保険の客が三万件、その他工事関係もあって直売の客は都合五十万件を数えた。これを起点に次なる百年に向けてニュー・カメイの挑戦が始まったのである。
5カ年計画で直売顧客100万に
 直売の客を積極的に拡大することを最大の眼目とした。創業百周年の今年三月に五十万の直売の顧客に達したことは前述の通りである。平成十五年を起点に五カ年計画で直売の顧客を百万軒にするニュー・カメイのプランを始動させた。顧客百万の内訳は、ガソリンスタンドの会員三十二万を七十万に、LPGの需要家十一万を十六万に、灯油の顧客二万五千を十万に、その他四万で都合百万軒獲得である。そのために「消費者一斉訪問キャンペーン」や一人で年間百戸の消費者を増やすことを目標に掲げた営業マン集団「百軒クラブ」の活動、営業マンの訪問戸数とガス機器の販売台数を競いあうコンテストの実施、GHPが需要拡大に効果がある機器であることから「カメイGHP営業マン育成研修」等を行ってグループ全体が直売志向に徹している。
バブル期も本業一筋
 昭伍会長がメーカーの会や消防関係など外の仕事をして下さるので自分は会社の内側で本業に専念できる。関係会社の統合でコストの大幅な削減を図り、物流経費を含め二〇%程度の経費削減計画を実施している。また、財務体質の強化では自己資本比率三三%を四五%に、また三月には有利子負債四百九十億円を四百億円に圧縮した。これは歴代社長がお得意に助けられながら時代に合わせて正しい経営判断をしたように自分も先祖のひそみに倣って健全経営を追究しての仕事である。バブル期にはリゾート・ホテルの経営を勧められたり、ビルごと買い取れなどいろいろな話が持ち込まれたようだが、歴代社長は本業一筋にそれらの「うまい話」には一切手を出さなかった。
対談を終えて
 文行社長は並々ならぬ決意を内に秘めているのだろうが、少しも気負ったところがない。育ちのよさから来るのだろうか、好感が持てた。そして筆者は、創業者の亀井文平社長にはお目にかかっていないが、二代目の運蔵社長から五代目の文行社長まで四代にわたって新聞記者としてお会いしてきたことにいささか誇りに似た感慨を持った。
 場ちがいのお喋りの感がなくもないが、佐々木幸綱の短歌二首を引いて文行社長との対談の結びとしたい。(注、幸綱は明治の歌人にして万葉学者・佐々木信綱の孫で、現代歌人、幸綱の父も歌人にして国文学者)
 まじまじと佐々木信綱の血を継げば凄惨にさらに研ぎゆく視線。寄せては返す<時間の渚>ああ父の戦中戦後花一匁(歌集・群黎から)

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