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(2003/5/19 プロパン・ブタンニュース)

コスモ石油ガス会長
日本LPガス団体協議会会長 日本LPガス協会会長
中原晟介氏
LPGの代表 国会で陳述

 日本LPガス団体協議会と日本LPガス協会の会長であるコスモ石油ガス会長の中原晟介氏は、13日に開催された衆議院経済産業委員会の電気・ガス事業法改正法案審議に参考人として出席して見解を述べ、議員の質問に答えた。
 詳細は本紙報道記事の通りであるが、意見陳述の冒頭でLPガス業界を次のように概括した。
 日団協はLPガスの流通および機器設備に携わる7つの団体で構成され、業界全般にわたる諸問題について活動する団体であり、その中の一団体である日本LPガス協会はLPガスの生産と輸入をしている元売事業者二十社で構成されている。業界にはわれわれ元売業者の他に容器に充填をする卸売業者約千四百社と家庭等へLPガスを販売する小売事業者約2万7千社がある。
 電力や都市ガス事業者数に比べて圧倒的に数が多い。しかも一小売事業者当たりの従業員数が平均7人、3人以下のところが60%を占める。業界として25万人以上が従事している。
 LPガスの需要量は最終エネルギー消費の5%を占め、全国の家庭用需要家2600万件が利用している。それは都市ガスの天然ガス原料との比較で、2001年度ベース熱量換算でほぼ同等のマーケットである。
 供給面では輸入量の50日分の民間備蓄を常時保有しており、さらに150万トン・約40日分の国家備蓄基地建設も進められている。また、非常時の供給確保という観点では阪神淡路大震災の時に極めて早期に復旧し、仮設住宅等で活躍して分散型供給の利点は実証済みである。
 LPガスの品質と環境特性であるが、低い圧力で液化し、液体の体積は気体の250分の1と小さくなるので全国津々浦々の需要家に届けるのに便利な分散型のエネルギーである。
 環境面でも二酸化炭素排出原単位は、採掘から燃焼までのLCA的観点から比較してLPG、LNG、都市ガスは同等とみなせるとの公的研究機関の調査報告がある。
 そして、LPガスは昨年批准された「京都議定書」の二酸化炭素削減目標達成に寄与できると結んだ。
 LPガス物流費の削減
 わが国では一充填所当たりの年間充填量は3000トンであるが、フランスでは9000トン、イタリアでは12000トンである。日本は一充填所当たり充填、配送量が少ない。こういうところが集約できないと自由化の波に洗われるとき厳しいものがある。これについてLPガス業界は危機意識を持って取り組んでいる。
 物流経費の節減に関する試算表を掲げておこう
 @一次・二次基地から充填所までの総物流費=550億円。
  充填所から末端消費者への総物流費=1880億円。
  合計2430億円。
 A上記1880億円のうち、760億円程度が節減可能。
 (a・自社配送を配送センターに委託=232億円節減。b・委託後、交錯配送を解消=187億円削減。c・交錯解消後、容器大型化=342億円削減。)
 Bさらに残ガス量縮小で50億〜60億円程度の削減が可能。また充填所の最適配置や吸収統廃合により、さらなるコスト削減ができる。
CP制度への対応
 サウジアラムコのCP(LPガスFOB価格)制度は、1994年10月に始まったが、CPスタート以前はアラビアンライト(AL)対プロパン換算比90%であった。CPスタート後はAL比おおむね130〜140%で推移した。FOBの緩やかな上昇、下降はよいが、この3月のFOB380ドルに対し4月は320ドルであった。フレート35ドルとして入着ベースで3月415ドル、4月355ドル、60ドルの下落である。円レート120円/ドルとして4万トンタンカー1船で約3億円の在庫差損になる。株と同じで下がればよいというものではない。
 このようなCP制度に対して元会社は産ガス国との対話を深めたり、これまで主流だったターム契約を一部スポット契約に切り替えたり、裁定取引を拡大して価格影響力を持たせる等の対応をした。また、中東以外の輸入ソースを開発した。
旺盛な需要開発
 LPガスは分散型のエネルギーとしての特性があり、環境負荷に優れ、省エネ性でも貢献できることが広く認識されている。家庭用の需要開拓はもちろん、LPガス自動車やGHP、コージェネレーションシステムなど新しいエネルギー利用技術を身につけて需要開発を徹底して行わなければならない。その際、諸々のエネルギーとベストミックスを図るべきである。
 わがLPガス業界には二万数千という多くの販売業者がいる。これらが新技術に対応した提言販売をするならば必ずや明るい展望が得られよう。

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