(2002/06/10 プロパン・ブタンニュース)
河野ガス社長
河野 勝氏
低価格 実感しました 河野ガス
  「ガス価格 企業努力で 安くなる」「低価格 実感しました 河野ガス」。
 5月13日付プロパン・ブタンニュースのバルク・システム相撲見立て番付で東の横綱をはった河野商事の河野勝社長から同社のユニークな料金システム、スーパーエネジョーズの取材を終えた筆者を地下鉄の駅におくってくれた河野さんの話である。社内で募集した標語の当選作だそうだ。
 河野商事のバルク容器設置数は3月末で5015基だったが、それから2カ月を経た今は早くも5400基である。来年10月までに累計9000基を設置して目標達成だと言う。ボンベをバルクに代えたことで配送費と充填費が一つになり、問屋の容器管理費など諸々の経費が省かれてLPGの仕入れ代金が透明になり、コストが削減された。
 スーパーエネジョーズ
 多くの小売店が私と同じようなことをはじめたら卸業者はこれまでのような利益を得られなくなるだろうと河野さんは言う。バルクシステムによって得た利益を消費者にいかに還元するか、知恵の出しどころである。河野さんは深夜目覚めて明けるまで考えぬいた夜が幾夜続いたことかと述懐する。かくて到達した手法は、値引きではなく還元という手法である。名づけてスーパーエネジョーズ。
 河野商事の需要家16700軒の各戸に年の初めに河野商事からカレンダーが届けられる。その第1頁に上表のような料金表が記されている。
 その料金表は極めて簡単である。(1)その客の前年度のガス使用量の合計を12等分(12カ月)に割った平均使用量(均等)が示されている。これによって毎月同じ価格を支払ってもらう。過不足は1年終了後に精算する(2)毎月検針はするが、伝票は配らない(3)ガス料金の滞納がないこと、毎月定額自動引き落としとする。滞納があればこの契約は不成立になる。
 上記1、2、3をお客が実行することによって前年1年間のLPG消費量合計の70%のLPGを還元する。この還元は、お客が必要な時いつでも使用できる。同じ料金で70%増しのLPGが使えるのである(図)。
 平成11年6月に1000基のバルク貯槽の設置を終えたときに前年と同じ支払い価格で消費実績の1.5倍のLPGが使用できる料金システムを発足させた。12年からはバルク設置台数の増加に伴う合理化効果で1.7倍を使用できるようにした。客への還元をお金でするのとでは大違いである。仕入れで計算すれば安く、小売値ですれば客は大いに得をした印象をうけると河野さんは言う。
 オールLPG住宅のための料金
 この料金体系は競争燃料である対電気や灯油を視野に入れてこれらと闘う料金体系である。すなわち70%の還元分で光熱費のうち灯油による年間暖房費1万8千円と電気こたつ、カーペットの電気代3万3千円の計5万1千円は70%の還元LPGでまかなえるという説明は説得力がある。
 このように考えていくと、この料金体系はオールLPG住宅推進のための料金といえる。さればこそ河野商事の営業マンの器具販売の旺盛なことと符節が合う。18人のお客さま管理の営業マンが4つの支店に配属されているが、誰もが毎月100万円以上のオーダーで器具売上の実績を記録している。
 口コミで新規のお客は毎月100軒以上
 エネジョーズは口コミで広がり、毎月100件以上の新規顧客の増加がある。新築はとらない。配管をしてやって、さらに還元ではたまらないと言う。また、カーポートに給湯の蛇口をつけてそこに赤い札を下げている。それには「この蛇口から出るお湯のガス料金は無料です」とある。70%還元ガスのPRなのである。
 ことごと左様に商売繁盛の道は、現場をよく知り、汗をかき、そして知恵を出すことだ。よく噛んで噛み砕いて話せばお客は納得してくれる。電気も都市ガスも恐れることはないと意気盛んである。

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